グリーフとは悲嘆、喪失体験のことです。
それをケアしていくための知識・体験をこの春から上智大学グリーフケア研究所で学んでいます。
狭い意味では死を前にした方や、近親者を亡くされたかたのケアとなりますが、広義では心の拠りどころを失う、例えばリストラや失恋等の挫折体験も含んでいます。
今日は20年前にこの地震により14歳のお嬢さんを亡くされたかたのお話を伺いました。
1995年1月17日早朝に家と同時にすべての思い出、最愛の長女をKさんは亡くされました。この20年がどんな時間であったのか、こうおっしゃいました。
最初の10年は受容(できごとを受けとめる)、あとの10年は自分を見つめて挑戦する時間であったと。そして、お母さんあなたの娘で良かったと天国の長女に言われることを目標に生きてきたとおっしゃったのでした。
なるほど陶芸と個展開催、二胡との出会いにより中国語や日本語教師としての学びを求めて大学・大学院へのチャレンジの連続です。
きっと長女も誇りに思っていることでしょう。
でも受け入れるために苦しんだ10年の間、他者にやってもらいたくないこと、救われたこともありました。
【やってもらいたくないこと】
・Kさんに泣きついて号泣
・近寄ってきてギュッとする
・「大変だったわね、立ち直れた?もう大丈夫?」
・「西宮に住んでいるの?地震の際に大変だったでしょう?」
・「ご家族は皆さん無事でしたか?」
・そして自分の体験を長々と語る
【感動するくらい嬉しかったこと】
少し離れたところから、こちらに向かって深々とおじぎをしてくださったこと。言葉にならない思いを感じた。
ふだん私たちカウンセラーは言葉を媒介としてそのかたの中に答えを見つけるお手伝いをしています。
でも言葉が突き刺さることもあります。言葉以外の身体と心全体の感覚を使って、相手に寄り添おうとすることはとても重要です。
「あらゆる想像力を駆使して、悲しみを理解してください。」
Kさんが最後におっしゃった言葉でした。